「おまえも悪い」に「おまえも悪い」の意味はない

 

 

思ったこと。

 

まず、世間(あえて世間という)が「やったらいけないこと」だと判断していることに安心した。記事を読んだ。だいたいタイトルから予想していたような内容だった。記者に対して「芸人やめます」と言ったことが載っていた。そこに、ものすごく腹が立った。やめると先出しすることでじぶんに向く矢印を減らそうとしているように感じた。引退をほのめかすことで、本来どうでもいいに属していた人たちが女性への矢印を向けることになる可能性を考えなかったのだろうか。本来流れないはずの血が流れている。女性に対して言った「おまえも悪い」が“では実際誰が悪いのか?”という話に繋がっていたけど、こういう時に使われる「おまえも悪い」は「俺は悪くない」と読む。そこに「おまえも悪い」という意味はない。発言者は俺が悪くなければいいだけで、誰が悪いかなんて気にしていない。少なからず相手に罪悪感を与えてから逃げることで、安易に追わせない仕組みになっている。不倫でのAbortionは女性に矢が向けらる正当な理由があるためどうしても女性側が攻撃対象になりやすい。対策はあるけど回避する方法はおそらくないのだろう。ふたりの関係をふたりがどう定義していたかわからないから、この辺はなんとも言えない。

世間の声ももちろん見る。ここも大体想定内。「せっかく活躍の兆しが見えていたのにもったない」の意見、ご尤もだと思う。きっと良識があるほど苦しい。特に目に止まった意見「中絶は今女性の意思で決定できるので中絶させたという表現は間違っている」。鬼の首をとったように「ほら言ったーーーー」って言っていた。ほら言ったーーーー。歴史の話になりますが、これまでAbortionを違法と扱っていたのは政府の男性たちで(権利の裁判でも決定権の過半数が男性が握っていたりした、その人たちが命の大切さを説いて違法ということになってきた)その現場にいない人に人生を左右されていることに違和感を持った女性たちが、政府に対して女性に選択させて!と言ってきているわけですよ、いまも。いまも違法とされている場所がぜんぜんあるわけで。そういう意味での、最終的決定権は女性に!を、Abortionを違法でなく受けられる日本ではそれをいいことに「おまえが決めたことだろ」と言われる材料にされる。ぜったいあるよなと思っていた。選択をする権利を持つことはつまり責任を持つことである、わかっている、そこから逃げたいわけではない。でも、そこを突いても蜂の巣が落ちるだけなんですよ。どっちがじゃなくてどっちもの話をしているんです。実際向こうの家族全員に「Monicaさんの選択を全力で支えます」と言われ、彼に「選ばなかった方をそっちにしたらよかったって言わない選択にして、それに従う」旨のことを言われた。どうして決定権は投げられるのですか。好きに決めてと言うことは優しさではないです。
一年前に記事が出た同職の名前を出している人もちらほらいた。「こういう例もあるから」「彼のように生き残っていける」、おもしろければ受け入れられていくの前例を作ってしまっている。既婚未婚の差はあれど。受け入れられるの、芸能界だけであってほしい。なんかでも別にいなくなってほしいとかは思わない。そこまでの熱量がない。まだ答えは出ていない。わたしひとりの悲しみでたくさんの笑顔をなくしてしまうかもしれないことと傷の痛みが常に戦っている。

 

たぶん彼はこの記事を読み、俺は二十万払ったし仕事休んで送り迎えをした、と思っている。そのわたしがかなしむことは彼女たちに失礼にあたるのかもしれない。

 

このタイミングで週刊誌に売ることに対しても「金銭目的」「売れてきたから」という人がいた。「被害者面して週刊誌に売り飛ばして」という声もあったが、週刊誌に出すこと=お金目的だと思われてるとするなら軽く見られたもんだ。週刊誌に情報を流す人の気持ちが、半分わかる。被害者として出していたりお金目的で出すならわからない。この人たちとはたしかに一線を引きたい。でも、じぶんの中ではもう解決しきれなくて相手も取り合ってもらえなくて、もうひとりじゃ抱えきれません愚弄なわたしも含め好きに判断してくださいドーンだったら電話する可能性がある。警察も世間も血の繋がった人たちでさえ、大事にならないと動いてくれない。週刊誌に情報を売る人は利用してやろうとしているか、誰よりもまじめにその出来事と向かい合ってきたかどっちかな気がしている。タフかボロボロか。

 

 

 

 

不思議に思ったこと。

 

この件に対してなにを悪いとしているかが人によってズレていて、一見同じ「よくないこと」派に見えても中で枝分かれしているように感じた。そもそもAbortionが悪いことだと言っている人は見かけなかったけど(日本ありがとう)、させたことが悪いことだとしている人はちらほらいて、不倫だからこの辺が複雑になっている。記事には女性の意志が書いてないのでこの面で強く批判するのは変な感じ。Abortionさせる=反感を買うんじゃなく、Abortionさせる+逃げる=反感を買う、だと思うんだけど、この件で怒ってる人たちはそういう理由で怒ってるんだよねと不安になった。「男性が悪いのに」って言ってるんじゃなく「ふたりいて起こったことなのに一方がめんどくさそうにしてんのなんでやねん」と言ってる。非難する側にも、女ならみんな産みたいんだろうという薄い潜在意識も感じてしまった(敏感になりすぎている)。

 

男ぜったいに産んでほしい女産まないで男が を怒っているパターンあるのかな。

 

 

 

 

 

ではAbortionが起こった時の対応として、どうしたらいいのか。どうしてほしいのか。不倫、はそもそもいいことではないので不倫じゃない場合のカップルを想定する。身体だけの関係とかだと話が変わってくると思う。女性代表としてではなく個人の意見として読んでほしいし、こうしてほしかったこうやって乗り越えていきたかったと理想を書いてあるだけなので読むのを終わりにしてもいいです。

 

予定外に妊娠が発覚したら、話し合う時間をたくさんとってほしい。妊娠したことを面倒だという態度をぜったいにとらないでほしい。Abortionを強要しないのは前提。そして、これはわたしだけの希望になるかもしれないが、選択を女性に委ねすぎないでほしい。「君の意見を尊重するよ」は一見聞こえはいいが、産むにしてもおろすにしても、後に「君が決めたことじゃん」と言われる可能性をつくる。あと妊娠が発覚するくらいの時期は起きているだけで気持ち悪かったりするので、その時に好きな方でと言われるとものすごく困る。好きとか嫌いとかではなくもう”はじまって”いるのだが、と思う。期待も不安も共有して、ふたりで決めることが大切だと思う。おろしてほしい場合も、怖いかもしれないがしっかり伝えてほしい。女性側も大切な人におろしてほしいと言われれば多かれ少なかれ傷つくが、記憶が正しければ、子どもを産むかどうかの話し合いは愛情ではなくもう少し生活として話が進んでいく。好きだから産むとかそんな単純な話はしていられなかった。ふたりのこれからの生活をどうしていくかについての話し合いなので、そこで変に嘘をつかれる方が余計話は拗れる。素直な答えが聞けることを望む。この時、おろしても付き合っていく時は素直にその気持ちを伝えれば済むのだが、反対にその話し合いが別れに繋がることもあるだろう。この時、まだお腹にいる時、男性、我慢してほしい、申し訳ない、男性、ここで別れると言わないでくれ。女性は、たとえ産む気がなかったとしても、きっとできたことではあなたを非難することはないだろう。避妊をお願いされて拒否しまくってたとかだったら非難される、それは受け止めてください。でも、女性にはふたりで起こしたことだという意識が、男性がビビらずに済むくらいにはあると思う。だからビビらないでほしい。逃げないで向き合ってみてほしい。ふたりで起こしたことで、ふたりで乗り越えないといけないことが、女性の体内に確実にある。それは好きとか嫌いとかの気持ちじゃないところで動いている。だから、別れ話はしないで、子どもをどうするかの話し合いに力を注いでほしい。でも、付き合っていく気がないなら希望を持たせるようなことも言わないでほしい。男性はおろしてもらうためにその後のことを保証することがある。もちろん実際には保証はされない。わたしも言われたし保証はされなかった。そういう”ハッタリ”で乗り越えるようなことはしないでほしい。むずかしいよね、ごめんね。とにかく、付き合っていく気がない男性に望むのは、元気になるまで一緒にいてくれということ、ひとりにしないでということ。(わたしたちは話し合いがまず満足にできず、最終的にはわたしの方から「術後一か月まで一緒にいて、それまででいいから」とお願いする。その時「一か月じゃなくてこれからもずっと一緒にいたい」と返した彼は、実際には術後二日でわたしを街から追い出す、そういうことはしないでほしい)

おろすことになった場合。手術代は相談でいいと思う。出してくれたらそりゃありがたい。かかる病院は、もし田舎だったらちょっと遠いところにしてくれると近所で噂されなくて済む。指定医のいる病院を調べること。順に電話して最短でどういうスケジュールで手術を行えるのか聞いていき、安心感と手術までの短さの塩梅のいい病院にすること。なるべく手術まで気にかけてあげてほしい。前検診当日後日検診一か月検診、病院に付き添ってほしい。特に手術終わりは、一緒にいる時間にしてほしい。おなかがすいているだろうからおいしいものを食べるといい。女性は術前のホルモンバランスの乱れ・術後産後うつと同じ症状になるのもあり、泣いたり怒ったり思ってもいない言葉であなたを非難したりするかもしれないが、反論せず抱き締めてあげてほしい。下手に励ましたりしないこと。そして、ひとりの時に振り返りをしてほしい。もし知らなかったら妊娠の仕組みやパーセンテージの高い避妊など、もう一度学び直してほしい。検診でついて行ったなら産婦人科にパンフレットが置いてある。安易に低容量ピルを飲むことを勧めてはいけない。女性側も男性が悪いわけじゃないと思う努力がある、それを知っていてほしい、誰もあなたを責めたいわけではない、ただ女性もすこしかなしかったのだ。ぽっかり穴があいたのだ。どれくらいで元気になるのか、一緒にいた方がいいのかいない方がいいのか、そういったことはわからない。でも、別れたければ別れられるタイミングは必ずくるし、それは彼女のすくなくとも身体がある程度戻った後にしてほしい。
女性側にも努力しなきゃいけないことは山ほどある。身体の中で起こっていることに加えて、この期間なら男性になにをしてもいいと思わないこと、側から見たらわからないので平気なふりをしないこと、それを男性に向けて弱みとして提示しないこと、自責しすぎないこと。

さだまさしが歌ってくれるかな。